公開日 カテゴリー AI・SEO
検索の「ゼロクリック時代」を中小企業はどう生き抜くか?AJSA鈴木氏のセミナーで学んだ「4つの生存戦略」(前編)
こんにちは、イクバルです。
2025年6月、一般社団法人全日本SEO協会 (AJSA) が主催するSEO検定の全級に合格しました。体系的な知識を身につけた達成感の一方で、検定の勉強のプロセスの中で、業界全体に漂うある種の「嵐」のような気配を感じていました。それは、「AIがSEOを終わらせるのではないか」という懸念です。
その答えを探るべく、2025年1月23日に東京国際フォーラムで開催されたAJSAの理事代表でもある鈴木氏の『Googleは終わるのか?AI時代の新SEO対策』というセミナーに参加してきました。
最後の質疑応答の時間も含めて3時間近くのセミナーでしたが、そのセミナー参加レポートと学んだことを2つの記事に分けて書きます。
結論から言えば、「SEOは死んではいないが、ルールは根本から変わった」ということです。私たちがこれまで信じてきた「検索して、クリックして、サイトに来てもらう」というパイプラインが、いま音を立てて崩れようとしています。
今回は、セミナーで公開された衝撃的なデータと、それに対する中小企業の生存戦略について、私の視点を交えてレポートします。
1. データの現実「Googleからの流入3割減」の意味
鈴木氏が提示したデータは、私たちが薄々感じていたことを裏付けるものでした。
- Googleトラフィックの減少: 多くのサイトで、今年に入ってGoogleからの流入が35%〜66%減少している。
- ChatGPTの躍進: SimilarWebのデータ(2025年6月)によると、ChatGPTは世界で5番目(1.3%)にアクセスされるサイトに成長。アプリダウンロード数では世界1位です。
- ゼロクリック検索: HubSpotのCEOが明かしたように、Google検索を行うユーザーの60%は、検索結果のリンクを一つもクリックしていません。
これは何を意味するのでしょうか?
ユーザーは「情報を探すためにサイトを訪問する」のではなく、「検索結果画面(またはAIの回答画面)で答えを見て満足して帰る」ようになったのです。
私たち中小企業にとって、これは「ウェブサイトへの集客」という前提が崩れることを意味します。これまでSEOでアクセスを稼いでいたサイトほど、この打撃は深刻です。
2. AIによる「学歴差別」とコンテンツのリセット
さらに興味深かったのは、AI(GoogleのAI OverviewsやChatGPT)が参照する情報の「偏り」についての話です。鈴木氏はこれを皮切りに「AIには学歴差別がある」と表現しました。
AIが信頼し、引用元として選ぶのは以下のようなサイトです。
- 政府機関、大学、大企業
- 大手ポータルサイト(医療ならメディカルドック、美容ならホットペッパーなど)
- 「偏差値」が高いと判断されるサイト(認定医の有無、駅からの距離、特許など)
逆に言えば、AIが量産できるような「ありふれた情報」や、信頼性の裏付けがない中小企業のサイトは、容赦なく無視されます。
ここで重要なのは、「コンテンツマーケティングのバブルが弾けた」という事実です。クラウドソーシングで安価に大量生産した記事や、ChatGPTに丸投げしただけの記事には、もはやSEO的な価値はありません。なぜなら、AI自身がそれ以上の品質で回答を生成できるからです。
3. AIが作れない「生き様」を見せるという生き残り戦略
では、資金力のある大企業や公的機関以外はもう勝てないのでしょうか? 鈴木氏の答えはNOでした。ただし、戦い方を変える必要があります。
AI時代に評価されるのは、AIが絶対に生成できない「一次情報(Experience)」と「証拠(Evidence)」です。
具体的には、以下の要素が重要になります。
- 解決事例の徹底公開: 単なる「実績」ではなく、写真、動画、具体的な数値、顧客の声をセットにした「証拠」としての事例ページ。
- 活動報告(生き様): 「〇〇へ行ってきました」「〇〇の研修を受けました」といった、日々の泥臭い活動記録。これが「実在する活動している企業」という信頼シグナルになります。
- 動画コンテンツ: YouTubeショートやTikTokなどの縦型動画。AIはテキストだけでなく動画の内容も理解し、信頼性の担保として利用し始めています。
ある地方の法律事務所やクリニックは、こうした「泥臭いコンテンツ」と「徹底した物理的実在の証明(駅ナカへの出店など)」によって、AI検索時代でも圧倒的な強さを誇っているそうです。
4. これからの戦い方「4チャネル」への分散
鈴木氏が強調していたのは、「Google SEO一択の時代は終わった」ということです。リスクを分散し、AIに「信頼できるブランド」として認識させるためには、以下の4つのチャネルを連携させる必要があります。
- Google SEO: 依然として重要。ただし、無料のお役立ちコンテンツでトラフィックを維持しつつ、信頼性を高める。
- MEO (Map Engine Optimization): Googleマップ検索。特に実店舗ビジネスではレビュー数と更新頻度が鍵。
- SNS: Instagram, X, Facebook, TikTokなど。同じショート動画を全プラットフォームに投稿し、「どこでも同じメッセージを発信している」という一貫性をAIに見せる。
- AEO (Answer Engine Optimization): これからの主戦場。AIに「答え」として引用されるための最適化。
結論 AIに「指名」されるブランドになるために
「検索は死んだ」というのは過激な表現かもしれませんが、「誰でも簡単にアクセスを集められる時代」は確実に終わりました。
しかし、これはチャンスでもあります。コピペや低品質なコンテンツで順位を上げていた競合が消え、「まっとうな商売」をし、「顧客に向き合い」、「汗をかいて活動している」企業が、正当にAIから評価される時代が来るからです。
まずは今すぐできることから始めましょう。
- To Do: ChatGPTに「私の会社([会社名])について教えて」と聞いてみてください。もし「情報がありません」と言われたら、AIにとってあなたの会社は存在しないのと同じです。
次回の記事(後編)では、鈴木氏が提唱した「AEOの具体的な実践フレームワーク」について、技術面(構造化データなど)とコンテンツ面からさらに掘り下げて解説します。
(後編へ続く)
P.S.ちょっと私が思った1つことを書くと、この変化は、Kafkaiが目指す「AIを活用して、人間ならではの価値を届ける」というビジョンとも合致します。AIに奪われる仕事ではなく、AIが評価する「本質的な価値」を作るために、ツールを賢く使っていきましょう。
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